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(夏喜side)
羽野に手を払われた。
「……もしかして、あの人が…昨日の?」
蓮がびっくりしたように俺の元へと駆け寄ってくる。
「……ホントに、イケメンさんだぁ」
陽斗もあの人の顔を見てびっくりしたようだった。
(…別に、手を払われたのは初めてじゃないのに)
自分でも驚く程に胸がドクンドクンと嫌な鼓動をたてだす。
何か蓮と陽斗が話してるようだったけど、何も耳に入ってこない。
何も、考えられない。
ただ、視線の先に不思議な雰囲気を漂わせる二人がいるだけ…
それだけが俺の頭の中に強くへばりついた。
しばらくしてから、羽野があの人と一緒に学校を出る。
その光景に思わず走り出しそうになった。…が
「ご、ごめん…一緒に帰れない…」
その言葉を思い出し、足がふと止まった。
それと同時に周りの雑音が一気に耳の中へと入ってくる。
「ねぇ、誰?あのイケメン…」「すっごいタイプなんだけど…」「ミステリアスな感じだよね…」「てか、あのダサ男とどういう関係なの!?」
「……夏喜、大丈夫?」「…つっきー……」
蓮と陽斗の言葉にハッとした。
「あ、ご…ごめん」
「……今日は冬麻くんいないし、勉強はやめとこ」
「……蓮」
「俺今さらバカ二人教えらんないしさ、明日に回した方が俺の負担も減る」
そう言って笑った蓮と心配そうに見つめる陽斗に少しだけ…心が楽になった。
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