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「俺は冬麻ほど賢くねぇから」 付け加えるように涼くんは言うとココアを一口飲んだ。 「ちょ、ちょっと…涼」 少しだけ冬麻くんが慌てる。 …どうやら冬麻くんの中学は涼くんと同じ、エスカレーター式の進学校だったのだろう。 (……なんで、ここの学校に来たんだ) 気になることは沢山ある。 冬麻くんの過去から、どうやって二人が知り合ったのか…何故、エスカレーター式の進学校から真逆とでも捉えられる東雲学園に冬麻くんはやって来たのか…… ふと隣にいる夏喜の顔を見た。 (……ほんと、バカじゃないの) 先程にも増して、険悪なオーラをこれでもかと持ち出している。冬麻くんには伝わってないだろうが、涼くんには伝わってるだろう。 (…話しやすくていい人なのに、涼くんかわいそ) 涼くんを気に入った俺は、敵意剥き出しの鈍感バカが鬱陶しくなって、足を思いっきり踏みつける。 「…いっ!」 夏喜は涙目になりながら俺を睨みつけてきた。 「…ど、どうっ…したの?か、河…木くん…?」 心配そうに冬麻くんが夏喜に問いかける。 「い、…いや、何でもないよ」 冬麻くんに対してはそう笑顔で答えたが、そのまま俺の顔を見て「なぜ!?」とでも言うような顔をして見てくる。 (……こいつ、無自覚なのかよ…) ますますうざったしくなって、もう一度思いっきり足を踏んでやった。

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