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黙り込んだ俺に涼はクシャッと頭を撫でる。
「冬麻は出会っちゃったんだね…、向日葵に」
涼の言葉に俺は顔を思わず上げてしまう。
その表情は、とても優しく…暖かかった。
「な、なんで…それを」
「ふふっ、だって冬麻分かりやすいんだもん」
「……え!?」
「つっきーでしょ?冬麻の向日葵」
つ……つ、つっきー!?!?
「え?ダメだった?陽斗からそう呼べって言われたんだけど」
ひ、……ひろさん!?!?
「…それとも、つっきーじゃなかった?冬麻の向日葵は」
その言葉に思わず固まってしまう。
(あ、合ってるって……言うべきだろうか…でも、か、かなり…恥ずかしい……)
頭の中でグルグル悩み続ける俺に涼はぶはっと大きく吐き出した。
「もう、分かりやすすぎて…しんどい(笑)」
な、なっ…な……
顔を真っ赤にさせて爆笑する涼に、俺は違う意味で顔を真っ赤にさせた。
涼が「あーお腹いた…」と呟くとそのまま大きく深呼吸する。
「イケメンだもんなぁ〜つっきーって」
は、恥ずかしい…恥ずかしすぎる……
耐えきれなくなって顔を下に向けた。
ふわっ
涼の方へ向く頭に手がふわりと乗る。
「…良かった、涼に…好きなやつが出来て」
……涼
「向日葵と…出会えたんだな、お前は」
ふと下げていた頭を上げ、涼の顔を見る。
「……俺を、…向日葵から、奪うんじゃないの?」
中学の時に言っていた…、タチアオイが言った言葉…
「……奪うよ、向日葵がお前を泣かせたら」
そう言う涼の顔は、とても穏やかだった。
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