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「………はぁぁぁ!?」
ひろくんの要件に夏喜は驚きの声をあげる。
冬麻くんも「えっ」と小さく声をあげた。
確かに、ひろくんの言った要件…いや、アイデアはかなりぶっ飛んだもの。
けど……
「いいじゃん」
「はぁ!?」
俺はかなり気に入ってしまった。
「夏喜、決定な」
「ちょ、待って……
キーンコーンカーンコーン
朝休み終了を知らせるチャイムに、慌てる夏喜を置いといて、俺はひろくんを引っ張りながら教室の外へと向かう。
「じゃあ、教室帰るから、今日実践しろよ」
夏喜と冬麻くんにウインクをして教室を去ると、教室から俺を止める夏喜の声が聞こえてきた。
「あ、あのさ…良かったの?」
アイデアを出した張本人のひろくんが、何故か不安そうに俺に問いかけてくる。
「いいのいいの」
どうやら、最近のひろくんはどこか冴えてるみたいだ。
┈┈┈┈┈┈
放課後…
「あ、あの…」「良かったら…なんですけど…」「か、彼女とか…」
「はぁ……」
うちのバカな女子達が涼くんにアピールしていた。
(やめてよ…有名進学校の涼くんに…バカなうちの高校が……)
まぁ、有名進学校の制服を着ているから、アピールしているという所もあるんだろうけど。
「涼くん」
俺が声をかけるとこちらを見てふわっと微笑む。
逆に周りの女子達は顔を真っ青にさせてパッと退いた。
「ごめんね、少し遅れちゃった」
「いや、別に良いんだけど…蓮って怖がられてんの?」
涼くんがチラリと周りを見渡す。
先程まで騒いでた女子だけでなく、他の生徒達も一歩下がってこちらを見ていた。
「……さぁ?そうなんじゃない」
正直言って興味ないし、俺は夏喜やひろくんと違って仲良くなんかしてやんない。
「ふーん…」
興味なさげに答える涼くんは、どちらかというと俺のタイプだろう。
受け答えはするが、女子の懸命なアピールにも視線を合わさず、サラッとかわしていく。
俺と初めて話した時だって態度一つ変えなかった。
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