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(夏喜side)
「じゃあ、帰ろ」
涼さんはそう言うと羽野の隣に自然と行く。
俺はどうしたらいいのか分からず蓮の方をチラチラ見ていた。
そんな俺に気づいてか、蓮が「はぁ…」と小さくため息をつく。
(…いや、ため息つかれても……)
少し不満になりながらも、決めたからにはやらなくちゃならない…「お願い」と口パクで伝えると、蓮は俺を睨みながらも涼さんの隣に並んだ。
「ねぇ、涼くん?」
「ん?なに?」
どうやって持ち込んでいくのか…俺はドキドキしながら蓮と涼さんを見る。
「涼さんって、東雲駅から帰るんだよね?」
「……そうだけど」
「じゃあ、夏喜と一緒なんだ!」
涼さんは何が言いたいのか分からないとでも言うように、首を横に傾げる。
そりゃそうだろう、必ず羽野の家まで送り届けてから、涼さんは東雲駅へ向かうんだから。
……そのおかげで俺が羽野を送れないし…
「実はね、今日冬麻くんはひろくんの家に泊まる予定なの」
(!?!?)
衝撃発言に羽野も陽斗も俺も…驚きを隠せないでいる。
陽斗なんか「え、えっ!?」と声をあげていた。
「だから、今日は冬麻くんの家まで送らなくていいよ?」
慌てまくる陽斗を無視して、蓮はニコッと涼さんに微笑みかける。
「……そうなの?」
さすがに怪しんだのか、涼さんは冬麻くんに確認した。
「う、…うん」
戸惑いながらも、羽野は首を縦に一つ振る。
「……分かった」
半信半疑っぽかったが、何とか納得して貰えた。
「それでね、こっからが本題なんだけど…」
「何?」
「夏喜と一緒に帰って欲しいの」
…いや、無理矢理すぎない???
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