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「…………」 羽野達を見送ったあと、ただひたすらに…沈黙が流れる。 何か話さなくちゃと思えば思うほど…頭が真っ白だ。 「し、終電…ありますか?」 「え?あるけど」 「…………」 (やばい……何話したら良いのか…分からない!!) 東雲駅近くに住んでる俺は、涼さんと別れるまで、まだまだ時間はある。…何とかして繋がなければ…… 「え、えと…ご、ごめんね?俺なんかと帰ることになっちゃって……」 「いや、別に良いけど」 「………」 ダメだ…続く気がしない…… 相手が涼さんだからとかじゃなくて…自分から話をするのは苦手だ……。 けど、涼さんはきっと自分から話してくれるようなタイプではない。なんとか、話さないと…… 「……ふはっ(笑)」 「…え?」 今まで素っ気なかった涼さんが突然笑い出す。 何が起こったのか全く分からず、俺は思わず固まってしまった。 「はぁあ…面白いねつっきーって」 お、面白くは…ないんですけど…… 「あまりにもつっきーがギクシャクしてるから、意地悪したくなっちゃった(笑)ごめんね?」 い、意地悪!? 思ってもみなかった言葉に、また固まりそうになる。 「つっきーって、人見知りなの?」 「え、…どちらかというと…」 「へぇ〜、今の冬麻と仲良いほどだから、人見知りしないと思ってた」 …今の……冬麻って…… 「あ、あの…」 「ん?」 「今の羽野って…どういうことですか?」 ここぞとばかりに、思わず聞いてしまう。 涼さんは「うーん」と考える仕草を見せたが、直ぐにふわりと笑った。 「冬麻に聞いてよ、直接」 「……え?」 「俺が言って良い事じゃないから」 「ごめんね?」と手を合わせて謝る涼さん。 やっぱり…まだ、簡単には羽野に近づけないみたいだ。

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