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「あ、ねぇ時間ある?」
「え、あるけど…」
「寄ってかない?」
(寄ってくって…どこに……)
涼さんが「あそこ」といって、一点を指す。
そこは、羽野と前に寄った公園だった。
「ほら、行こ!」
「え!?ちょっ…」
思いっきし腕を引っ張られ、公園の中へと入っていく。
そのままベンチの方へ向かうと、半ば無理矢理座らされた。
「あ、あの…」
「つっきーは、何の花が好き?」
「えっ?」
突然、何を言い出すんだ…
「ほら、教えてよ」
好きな…花?
「……花は詳しくないから……わかんないけど…何で?」
何で花なんか…
「え?だって、突然仲良くしようだなんて…話すことないもん」
…ご、ごもっともです……
「けど、花に詳しくないんだったら、聞いても意味ないかぁ(笑)」
涼さんは「なんの話しようかなぁ」なんて言いながら、頭を搔く。
「……涼さんは、何の花が好きなの?」
好きな花を聞くということは、花に詳しいんだろう。そう思い、質問すると涼さんは少しだけ寂しそうに笑った。
「俺?…俺は……」
涼さんは上を仰ぐ。
聞いてはいけなかったのかと思ったが、初めて見る、寂しさを帯びた微笑みに…言葉が浮かばない。
「…なんだと思う」
「……え」
まさかの逆質問に俺は固まってしまった。
「ふふっ(笑)…前までなら迷いなく答えてたんだけどなぁ……」
「え?」
「………分かんなくなっちゃった、自分の気持ちが」
え、え?そ…そんな花って複雑なの??
戸惑う俺を見て、涼さんがふわりと微笑む。
「あ、あの…「なんか飲もっか」
涼さんは上手くはぐらかすと、自動販売機の方へスタスタと歩いていった。
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