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(夏喜side)
日は過ぎ去って、気付けば誕生日会当日…
俺は開催される陽斗の家まで送るため、羽野と涼さんを東雲駅で待っていた。
蓮からは家まで連れてきてくれるだけでいい、としか聞いてなかったんだけど…
「ごめん!ゆっくり来て!!」…なんて今更ながらに陽斗からメッセージが届いた。
(あいつら、何やってんだ…?)
陽斗の家に先に蓮が一緒にいるのは知ってる…
準備をやっていてくれてるらしいんだけど…
(ゆっくり来てって…どうしたらいいの!?)
突然のお願い追加に慌てまくる俺に、聞きたくなかった声が耳に入ってくる。
「おーい、つっきー!」
後ろから俺の名前を呼ぶ涼さんの声…
振り向けば当たり前のように、羽野も一緒で…
(どうしよ…こんなんじゃ涼さんにも事情を話せない…)
正直、羽野だけだったら上手く遠回り出来そうだが、涼さんも一緒となると…
「ねぇ、早く行こ」
……ですよねぇ
モタモタとしている俺の横をすり抜けて、涼さんは「どっち?」と分かれ道を指す。
「あ、右…」
って、何俺普通に答えてんだ!?
俺の答えに涼さんは何も迷うことなく右をかなりのペースで歩くし…
「ご、ごめんね…涼、マイペースで……」
申し訳なさそうに謝る羽野。
(…いや、マイペースな人って普通ゆっくりなんじゃ……)
そう頭に過ぎったが、俺の顔をキョロキョロ見る羽野が可愛くて
「全然」
と笑いながら答えた。
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