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「あ、夏喜、なんか作ってよ」
「え?俺?」
「うん、ぶっちゃけひろくんのより、何倍も料理上手いじゃん」
風隼さんの言葉にひろさんが「なんだとおおお!!」と突っかかるが、華麗にスルーする。
「…いいけど、冷蔵庫の中の物、使っていいの?」
「それは全然良いよ!!この日の為に大量に買ってあるから!!」
(この日の…為に……)
何気ない一言だったのだろうけど、胸がポッと温かくなる。
「じゃあ、羽野」
「え?」
突然呼ばれて河木くんを見ると、そこにはエプロンを着用し袖を捲る河木くんの姿。
袖を捲る仕草がカッコよくて、思わず胸がドキッと高なった。
「何が食べたい?」
「…え?」
何が…食べたいって……
「今日は、羽野の食べたいもの何でも作るよ?」
胸がキューっと締め付けれる。
「一年に一度の、大切な日を祝うんだからね」
…どうしてそんなかっこいいことを、サラッと言えちゃうのだろう…
「きゃぁぁ…やっぱつっきーって罪な男だね…」「あれが無意識って…タチ悪いわ…」
「え、あれ素なの?」
又もや三人が隣でコソコソと何か話している。
そんな光景を気にしてないのか、河木くんは椅子に腕をかけ「ん?」と微笑みながら聞いてきた。
(…食べたい、もの……)
河木くんが作るものなら、何だって食べたい。…けど
「ミートスパゲティ…」
強いて言うなら…大好きなミートスパゲティを食べたい。
「ふふっ(笑)やっぱり」
河木くんは予想が当たったのか嬉しそうに笑いながら、「ちょっと待ってて」と甘い雰囲気を漂わせてキッチンに向かった。
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