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「羽野って涼さんに弱いんだね?」
「…よ、弱い…というか……」
普段は何にも言わない涼だけど、こうなってしまったら僕が何を言っても仕方ない。
「俺にとっての、蓮みたいなもん?」
「…そ、そんな…感じ…かな……」
ひろさんか風隼さんかで言ったら、風隼さんだろう…
「じゃあ、パエリアと唐揚げ作っていくね?」
「あ、ミートスパゲティは…」
「ふふっ、大丈夫、ソース作ってる最中だから一旦中断しよ」
「は、はい」
エプロンを渡され、僕はそれを身につける。
「じゃあ、初めに唐揚げから!」
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(蓮side)
「…何でそんな大量にたべれるのかねぇ」
「唐揚げは別腹!!」
「…自分が作ったもん、一番自分が食ってどうすんのよ…」
相変わらずなひろくんに思わずため息が出る。
「…ていうか、なんか焦げ臭くない?」
ひろくんはそう言うと手を横に扇いだ。
…確かに……一体なんの臭いだろう…
「キッチンの方からしてるみたいだけど…」
涼くんが突然ふふっと笑う。
「りょ、涼くん?」
「大丈夫かなぁ、つっきー」
「「…え?」」
大丈夫って…何が…
「羽野!焦げてる焦げてる!!」
キッチンから夏喜の声が聞こえてくる。
「え、…あ!」
ガンガラガッシャン!
それに続いてド派手な音がキッチンから響き渡った。
「…あの、涼くん…冬麻くんって料理…」
何となく察して、付き合いの長い涼くんに、恐る恐る聞いてみる。
「中学の調理実習では、包丁さえ握らせれ貰えてなかったなぁ」
「「…まじか」」
夏喜…大丈夫かな……
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