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(蓮side) 少しだけシーンとした空気が流れる。 それは、黙り込む夏喜だけが漂わせてる空気でも、いつもと違う微笑みを浮かべてる涼くんの空気でもない。 多分…俺だろう。 (和らげなくては…) いつもなら軽く遇えるのに、今日に限って頭が回らない。…こんな日に限って…… 不幸中の幸いと言えば、こういう雰囲気に敏感な冬麻くんが、絵に夢中になってくれてる事だろうか… 冬麻くんの周りにだけ、相変わらず優しくて温かい雰囲気が流れてるように感じる。 …気づく前にどうにかしないと 口が上手く動いてくれない。 「へぇ〜!何かよくわかんないけど、綺麗だねぇ!!」 「!?!?」 隣で空気ぶち壊したひろくんに思わず目を見開く。 (いやいや、バカにも程が…) ツッコミかけたその時だった。 グイッ 「!?」 腰を寄せられ、他の三人には見えない角度で背中を優しく摩られる。 (…もしかして、助けてくれた?) チラッと視線を向けるが「凄いよねぇぇ」なんてニコニコ笑顔を振りまいてるだけ。 優しく摩る手は、その間も止めないでいてくれて心がすっと楽になった。 「バーカ、そりゃ素晴らしい芸術家なんだから、素敵な絵に決まってんでしょ?バカなひろくんには意味分かんなくていいの」 「な、なんだとおおお!!!」 段々と元の調子が戻ってくる。 てか、空気の変え方無理矢理すぎんでしょ… 「ありがと…」 「…え?」 面と向かって言うのが恥ずかしいなんて、 俺の方がバカみたい。

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