213 / 437
┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
(な、なんで?)
河木くんと帰れることが嬉しくないはずない。
けど、何でそうなったんだ…
戸惑う僕に涼は何も言わずに近付いてくるとこっそり耳打ちする。
「以外と脈ありなんじゃない?」
「!?!?!!」
耳元で放たれた発言はあまりに衝撃的なもので、顔が一気に赤くなるのを感じた。
「…なっ」
目の前でふふっと笑う涼に、益々恥ずかしくなって、上手く言葉が出てきてくれない。
「じゃあね?つっきー、ちゃんと送ってやれよ」
「…分かってるよ」
あたふたしている間に、二人はそんな会話を交わして涼がその場から立ち去る。
「あ、ありがとう」
訳も分からない状態で、今日のお礼を完全に立ち去る前に伝えた。
涼の姿が見えなくなる。
「羽野」
突然の河木くんの声に肩がビクッと揺れた。
河木くんと二人っきりだという状況には、どれだけ経っても慣れてくれない。
緊張して、上手く言葉が出なくて…心臓が煩くなるんだ。
「…?大丈夫?」
「へ?」
「……なんか、急に萎らしくなったから…」
「そ、…そんなこと…な、ないよ」
萎らしくなってるんじゃない、緊張で少しパニクってるだけ…
「ねぇ、羽野…時間ある?」
「…ある、けど……」
別に時間がない日なんか特にないし、休日である今日なんか特にだ。
「寄ってかない?」
そう言って指さした場所は、いつもの公園。
コクリと僕は首を縦に降った。
ともだちにシェアしよう!