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「…河木…くん?」 「…あのさ」 心配そうな顔で俺を見る羽野と向き合う。 「羽野は…」 「中学の時、どんな姿だったの?」…そう言いかけて声が詰まる。 ゆっくりと距離を縮めていけばいい、羽野が話したくなるまで…待てばいい。 そう思えば思うほど、焦りが出てくるんだ。 「…河木…くんは…」 羽野に名前を呼ばれてハッとする。 「…ぼ、僕の…昔の姿…知りたい…の?」 俺の聞きたかったことを羽野から言われ、心臓がドクンッと鳴った。 一瞬、なんて答えたら良いのか分からなくなる。 素直に頷くべきか、それとも… 「い、今は…気使わないで……」 「……え?」 「か、河木くんが…知りたいか…ど、どうか…だから……僕は、多分…だ、大丈夫」 羽野が俺の目をじっと見る。 「もう、…逃げたく…ない」 羽野ってこんなにも強かったっけ? 強くて素直で真っ直ぐで…痛いぐらいに羽野の気持ちが伝わってくる。 前に進もうとしている気持ちが…苦しいぐらいに… 「知りたい」 けど… 「羽野がまだ、話せないっていうなら、いくらでも待つよ。…何年でも」 何年経っても、羽野とは大切な友達だから。 無理矢理、話すことはない。 「…あ、ありがと…」 羽野が少しだけ下を向き、眼鏡をクイッと上げる。 「…正直、全ては…ま、まだ…怖い」 怖い… 「けど、少しだけ…でも、…知ってて…貰い…たい」 手がほんの少しだけ、震えている。 「…教えて、羽野のこと」 震えてる手を、俺の手でギュッと包み込んだ。

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