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「…普通の、格好…だったんだ…中学のとき…は」 ゆっくりと羽野が話し出す。 「…め、眼鏡も…かけてなかったし、…前髪も…長くなかった…」 眼鏡も…? 「目が悪い訳じゃないの?」 「…か、隠す為なだけ…」 隠す…ため? (何を隠す為なんだろう…) 羽野は俯きながら眼鏡をクイッと上げる。 「…コンプレックスに…なったんだ、中学…の、時…」 「…え?」 「……目が…」 目を隠すために、目も悪くないのに眼鏡をかけ、前髪を伸ばしたの? …コンプレックスになる様な出来事って… 「…それ以来、人前で…前髪を上げたり、…眼鏡を…外したりは…怖くて……」 握っていた手がまた小さく震える。 「…無理に話そうとしなくていいから」 過去を話せば話すほど、羽野が壊れていきそうで…怖い。 「それでね、…コンプレックスに…なる様な出来事が……あって…」 羽野は俺の言葉を無視し、そのまま言葉を続ける。 「羽野…「涼の前から消えたの…」 「え?」 「…何も…信じられなくて……逃げた、中学を…知る人から……信じてくれた涼から…」 羽野と涼さんが再会した日の事を思い出す。 その日から今まで、毎日の様に羽野に会いに来ていた。 何があっても、傍に居続けていた。 まだ、羽野の事で気になることは沢山ある。 けど、 「ありがとう、話してくれて」 今は、これだけで十分だ。

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