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(冬麻side) …え? 頭の中が、真っ白になる。 (…これ……え?) 唇に当たる優しい感触。 ふわっと香る、河木くんの匂い。 目線の先に広がるのは河木くんだけ。 スっと河木くんが僕から離れる。 その瞬間、今何が起こっていたのか理解出来た。 (なんで…) 分かっていても、分からない。 なんで、キスなんかしたのか… 聞きたいのに、頭が追いつかなくて上手く声が出てくれない。 「…な、なん「ごめん!」 (……え?) やっと声を発せたと同時に、河木くんが僕に頭を下げる。 「…わ、忘れて…」 その瞬間、心臓が一瞬止まったかと思った。 この人は、何を言っているのだろう。 (…忘れて?) そんなの、忘れられる筈ない。 河木くんにとったら、直ぐに忘れられるような事だとしても キスなんて、日常茶飯事だとしても 僕にとったら… 「…ファーストキスだったのに?」 大好きな人との、初めてのキスなのだから。 何となくでも、遊びでも…理由は何でも良い。 ただ、河木くんにとって、僕とのキスは過ちだと思われた事が悲しかった。

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