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(夏喜side)
「は!?一緒に帰れない!?」
放課後、俺を無視して下駄箱にいた蓮と陽斗に話しかけられると、思わぬ事を告げられる。
「当たり前でしょ?」
透かした顔でサラッと言った蓮に対し、後ろの方で「ごめんね」と口パクで伝える陽斗。
(…そ、そりゃそうか……)
文句も言えない俺は、静かにその事実を受け入れる。
蓮にも陽斗にも頼ってはいけない…
何とかして、羽野に許してもらわないと…
「あ、もうすぐ冬麻くん来るから早く帰ってよね」
(……め、めげない!!)
靴を急いで履き替え、校門前まで足を速めながら歩き進める。
校門をそのまま突っ走って抜けようとした、その時だった。
「つっきー」
思いも寄らない声に、足が停止する。
(…え?)
声のする方を見れば、相変わらず女子からの視線を浴びている涼さんの姿。
(な、なんで…聞いてないのか?)
「え、えっと…羽野達とは別で…「知ってる」
「…え?」
短く発した言葉に固まっていると
「今日は、つっきーに用が会ってきたの」
涼さんの目がギラりと光る。
俺に用がある事にびっくりしたが、涼さんの目を見れば思い当たる節が一気に浮上してきた。
「…はい」
小さくそう呟くと、涼さんはいつものようにふわりと微笑んだ。
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