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鞄に入れっぱなしだったスマホを取り出し、ある人物に電話をかける。
《…はい》
「涼だけど」
《あのバカ、どうにかしてくれた?》
「ふふっ、今走っていっちゃった」
電話の向こうで、深いため息をついてる姿が目に浮かぶ。
そう、電話の相手は蓮
ちょうど昼休みが終わってから、五時間目のチャイムが鳴った頃に蓮から電話があり、誕生日パーティーの後の出来事を知った。
元々授業にあまり出てない俺は、屋上で絵を描きながら聞いてたんだけど、どうやら蓮も俺と同じタイプの人間らしい。
そうじゃなかったら、そんな時間にかけてこないだろう。
一通り何があったのか聞いた後、夏喜をどうにかしてくれと頼まれた。
何故俺に頼んで来たのかは謎だったが、自分では動きたくないらしい
電話では《あいつには呆れた》なんて言ってたけど、知って直ぐに俺を頼ってきた以上、完全に見捨てられないのだろう。
蓮は何だかんだ言いながらやってしまうから、優しい。
《ごめんね、涼くんに任せちゃって》
ふふっ、ほら優しい。
「いいよ、俺はつっきーに思った事を言っただけだから」
そう、ありのままを伝えただけ。
それが上手く届いてるかは分からないけど
(冬麻が報われれば、俺はそれでいい)
つっきーを助けたつもりはないよ、
冬麻が幸せになるには、こうするしか思いつかなかった
ただそれだけ
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