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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
(夏喜side)
走り出してきたのは、良いものの…
「羽野ん家ってどこだ?」
何も考えずに、無我夢中で走った俺を殴りたくなる…
(こうなるんだったら、涼さんに家聞いとくんだった…)
ガクリと思いっきし肩を落とす。
これじゃ、蓮にバカって言われても仕方ないよな…
どうする事も出来なくて、とりあえず足を進めようと前を向いたその時。
(…え?)
目の前には、びっくりした顔を見せる羽野…
「ちょ、ちょっと待って!!」
逃げ出そうとする羽野を捕まえて、俺の方を向かせる。
羽野は居心地悪そうに目を泳がせていた。
(…ど、どうしよう)
止めたは良いものの、なんて言ったら良いか分からない。
正直、あの時俺はなんて言ったら良かったのかも、なんで「忘れて」って言葉が不味かったのかも…分からない。
俺と羽野の間で気まずい沈黙が流れた。
「…あ、あの…何も用ないなら…」
「ある!!あ、あるから…」
やばいやばい…どうしよ……
焦る頭の中で、ふと蓮の言葉が頭に浮かぶ。
『なんで乙女心分かんのに、冬麻くんの気持ちは分かんないわけ?』
乙女心が分かるかどうかは別として…俺は羽野の気持ちを理解出来てない。
そうだ、何故羽野を悲しませてしまったのか…まずは知る必要がある。
ただ謝るだけじゃ、絶対にダメ。
「…羽野の気持ちが知りたい」
羽野の肩が小さく揺れた。
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