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(夏喜side) 走り出してきたのは、良いものの… 「羽野ん家ってどこだ?」 何も考えずに、無我夢中で走った俺を殴りたくなる… (こうなるんだったら、涼さんに家聞いとくんだった…) ガクリと思いっきし肩を落とす。 これじゃ、蓮にバカって言われても仕方ないよな… どうする事も出来なくて、とりあえず足を進めようと前を向いたその時。 (…え?) 目の前には、びっくりした顔を見せる羽野… 「ちょ、ちょっと待って!!」 逃げ出そうとする羽野を捕まえて、俺の方を向かせる。 羽野は居心地悪そうに目を泳がせていた。 (…ど、どうしよう) 止めたは良いものの、なんて言ったら良いか分からない。 正直、あの時俺はなんて言ったら良かったのかも、なんで「忘れて」って言葉が不味かったのかも…分からない。 俺と羽野の間で気まずい沈黙が流れた。 「…あ、あの…何も用ないなら…」 「ある!!あ、あるから…」 やばいやばい…どうしよ…… 焦る頭の中で、ふと蓮の言葉が頭に浮かぶ。 『なんで乙女心分かんのに、冬麻くんの気持ちは分かんないわけ?』 乙女心が分かるかどうかは別として…俺は羽野の気持ちを理解出来てない。 そうだ、何故羽野を悲しませてしまったのか…まずは知る必要がある。 ただ謝るだけじゃ、絶対にダメ。 「…羽野の気持ちが知りたい」 羽野の肩が小さく揺れた。

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