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「俺は…正直、羽野の事を恋愛対象とか…そういうので見たことない」
羽野の肩がビクッと動く。
「正直、驚いてるし…羽野の気持ちに答えられるかも…分からない」
続ける言葉に、何も反応を示さない羽野。
「けど」
俺は一つ息を吐いた。
「羽野の気持ちが離れていく方が、何倍も嫌だ」
羽野がびっくりしたように俺の顔を見る。
何だか照れくさくて目を背けた。
「なんで俺がキスしたのか…」
羽野は教えてくれた。
俺の不謹慎な…質問にも、正直に
だから、俺も…
「嫌だったんだ、羽野が涼さんと…お揃いを持ってること」
小さく息を吐く。
「涼さんから貰った物を…大切に持ってる羽野が、涼さんの前だと安心してる羽野が、…涼さんと二人でいる時の羽野が」
「嫌で嫌で、仕方ないんだ」
羽野は何を言われているのか理解出来てないのか、首を少しだけ傾げている。
「それが…その、……ば、爆発して…キス…してた」
そう、羽野の何倍も俺の方が汚い。
きっと羽野は嫉妬なんかしないのだろう。
少しずつ、俺に何を言われてるのか理解しだしたのか、顔が真っ赤になる。
「…え、…っと…」
慌てふためき出す羽野。
「この気持ちが…な、何なのか…恋なのか、友達への独占欲…みたいなのか…はたまた別なのか…は分からない」
羽野の体がピシッと止まった。
自分でも、何を言ってるのか分からなくなる。
だって、最近…今でもこの気持ちの名が分からないんだから。
過去の彼女や彼氏にも、友達にも抱いたことの無い、羽野だけの感情。
「だから…何を言いたいのかと…い、いうと」
自分勝手だと言われても構わない。
俺と一緒にいて羽野が辛いのなら、黙って離れていく
けど…
「これからも、傍にいてくれませんか?」
願わくば、自分勝手な俺の願いを…包み込んで欲しい。
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