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「普通気まずくならないものかねぇ…」
思わずそう呟いてしまう。
優しくて甘々な雰囲気だけど…一様振られてはいるんだ、少なくとも雰囲気が変わらないだけなら理解出来る。
ましてや、昨日冬麻くんからキスしちゃったんだ。
「き、気まずく…なるかなって…お、思ってたん…だけど」
小さな声で恐る恐る冬麻くんは声を出す。
「あ、朝来たときたら…か、河木くん…態度変わらないし…」
そりゃ、変わらない関係を願ったのは夏喜だからなぁ…
「そ、それどころか…な、なんか…」
あぁ…夏喜の甘さが増しちゃったって所ねぇ…
夏喜は何処か本能的な所がある。
振ったから態度を変えなくてはとか、これからの関係…とか分からない人。
頭では好きと気付いてないものの、心は完璧に冬麻くんのもの…
つまり、夏喜の状態は両思いになったばかりのバカップル状態だ。
…気付いてないのだけが、厄介なだけ…
多分、隣にいるひろくんもその事には気づいている。
だから、バカみたいに騒いでないのだ。
それに対して冬麻くんは気付いてない。
鈍感とかじゃなくて、自信がないのだろう。
気付いていたとしても、否定しちゃう、そういう子だ。
だからこそ、なんで夏喜が甘々なのか全く検討つかないでいる。
(…どうしようもない)
俺やひろくん、涼くんさえ二人を意図的にくっつける事は出来ない。
これは、二人の問題。
夏喜が自分の気持ちに気づかない限り、冬麻くんの純愛は叶わないだろう。
(早く気づけよ…)
このままじゃ…あまりにも冬麻くんが哀れだ。
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