241 / 437

┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈

ひろくんが途端に黙り込む。 (…突然なに、俺の気持ちが漏れてるわけないよね) 「…どうした?」 冬麻くんをギュッと強く握りしめながらそう聞くと「いや…」なんて曖昧な答え方をする。 「お風呂出来たわよ〜」 少し頭にイラッてきた時、おばさんのお風呂を知らせる声が聞こえた。 「あ、…ぼ僕入ろう…か?」 「「え?」」 黙って俺に抱かれてた冬麻くんの提案に俺もひろくんも声を出す。 「いや、別に…「お願い出来る?」 (はぁ!?) 何かを感じ取ったであろう冬麻くんの提案を否定する前に、ひろくんが「そうして欲しい」と言い出した。 (…何なの) 別にひろくんと二人っきりでも良いが、こんな思いを抱いてる中では少しだけ気まずい。 「あ、じゃあ…入ってくるね」 冬麻くんは俺の腕から抜け出すと、置かれてたパジャマを取り、部屋を抜け出した。 俺とひろくんだけの空間になる。 「ねぇ、れんれん」 声をかけられ、ひろくんの方へ頭を向けると。 ふわっ (……っ) 優しく、頭を撫でられた。 「何かあった?」 「…え」 「れんれん、急に寂しそうな顔しだしたから」 突然どうしたかと思えば… 俺、そんな顔に出てたのかよ こんな時に限って敏感なひろくんに少しだけ睨みつけてみる。 「…ん?」 が、優しく聞き返してくるだけで何も効果は感じられない。 それどころか、撫でていただけの手はくしゃくしゃと動き出して (…ずるい) ひろくんは、俺だけじゃない。誰にでもこういう態度をとる 落ち込んでいる人には優しく声をかけるし、お願いされたら絶対断らない。 女の子を褒めるのだって上手だ。 だから、皆本気でひろくんを好きになってしまう。 そんな、誰にでも優しくて、裏のない…真っ直ぐすぎる所を好きになったのに (…いいな) 学年一のモテ男で高嶺の花な夏喜に 特別扱いされてる冬麻くんが 嫉妬して貰える冬麻くんが キスして…される冬麻くんが 痛いぐらいに羨ましい。 そんな、真逆の感情を抱いてる俺が、おかしくてしょうがないんだ。

ともだちにシェアしよう!