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ひろくんが途端に黙り込む。
(…突然なに、俺の気持ちが漏れてるわけないよね)
「…どうした?」
冬麻くんをギュッと強く握りしめながらそう聞くと「いや…」なんて曖昧な答え方をする。
「お風呂出来たわよ〜」
少し頭にイラッてきた時、おばさんのお風呂を知らせる声が聞こえた。
「あ、…ぼ僕入ろう…か?」
「「え?」」
黙って俺に抱かれてた冬麻くんの提案に俺もひろくんも声を出す。
「いや、別に…「お願い出来る?」
(はぁ!?)
何かを感じ取ったであろう冬麻くんの提案を否定する前に、ひろくんが「そうして欲しい」と言い出した。
(…何なの)
別にひろくんと二人っきりでも良いが、こんな思いを抱いてる中では少しだけ気まずい。
「あ、じゃあ…入ってくるね」
冬麻くんは俺の腕から抜け出すと、置かれてたパジャマを取り、部屋を抜け出した。
俺とひろくんだけの空間になる。
「ねぇ、れんれん」
声をかけられ、ひろくんの方へ頭を向けると。
ふわっ
(……っ)
優しく、頭を撫でられた。
「何かあった?」
「…え」
「れんれん、急に寂しそうな顔しだしたから」
突然どうしたかと思えば…
俺、そんな顔に出てたのかよ
こんな時に限って敏感なひろくんに少しだけ睨みつけてみる。
「…ん?」
が、優しく聞き返してくるだけで何も効果は感じられない。
それどころか、撫でていただけの手はくしゃくしゃと動き出して
(…ずるい)
ひろくんは、俺だけじゃない。誰にでもこういう態度をとる
落ち込んでいる人には優しく声をかけるし、お願いされたら絶対断らない。
女の子を褒めるのだって上手だ。
だから、皆本気でひろくんを好きになってしまう。
そんな、誰にでも優しくて、裏のない…真っ直ぐすぎる所を好きになったのに
(…いいな)
学年一のモテ男で高嶺の花な夏喜に
特別扱いされてる冬麻くんが
嫉妬して貰える冬麻くんが
キスして…される冬麻くんが
痛いぐらいに羨ましい。
そんな、真逆の感情を抱いてる俺が、おかしくてしょうがないんだ。
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