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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
「あ、あの…お、起きて…」
僕の言葉にも風隼さんもひろさんもビクともしない。
「お、起きて…!」
ちょっとだけ大きな声を出してみたが、「んぅ…」と小さく唸るだけで起きる気配が感じられなかった。
(ど、どうしよ…)
涼も中学の時は学校をサボって、よく屋上で寝ていたが、起こすことなどした事ない…
(ら、乱暴なことは…出来ないし……)
声で起きないならばと、風隼さんの肩を軽く揺らしてみる。
先程よりも反応を示したので、いける!と思った…の、だが…
ギュッ
「!?!?」
突然腕を引っ張られたかと思いきや、気づいた時には腕の中…
(は、恥ず…か……)
完璧に抱き枕扱いされてる僕は、「お、起きて…」と呟きながらも、早く解放されようと腕の中で抵抗していた。
「…ん、おはよ」
僕の努力が叶ったのか、風隼さんが眠そうに目を擦りながら、そう挨拶してくれる。
「お、おはよう…ございます」
が、何故かまだ腕の中で…
「あ、あの…」
「ん?なに?」
「…う、腕を……」
何を言っているのか、風隼さんは腕を見て「あぁ〜」と理解したが、一向に話してくれない。
「え、…あ、あの……」
予想外の展開に戸惑っていたら、
「俺のようかん取らないでぇぇえええ!!!!」
その戸惑いを取っ払うみたいに、ひろさんのおかしな寝言が部屋に響き渡った。
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