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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
「はぁ…誰があんたの羊羹取るわけ…」
呆れ返った顔をする風隼さんは、俺を腕の中から解放し、ひろさんの方へ歩いていく。
グニッ
「いったぁぁ!!」
目の前に来ると、風隼さんは思いっきし、ひろさんの頬を抓る。
「な、何すんのぉぉ!」
「あんたが中々起きないからでしょ」
プンスカ怒ってるひろさんはもう完全に目が覚めてるらしく、「もう!」と言いながら布団から出る。
「ご飯冷めちゃうわよ〜」
下からひろさんのお母さんの声が聞こえ、ひろさんと風隼さんはパジャマのまま、僕は制服でリビングまで向かった。
┈┈┈┈┈┈┈┈
「羽野!」
学校に着き、久々に中庭でボーッとしていると、河木くんの声が耳に入る。
「か、河木くん…」
厚着をしながらもニコニコ笑う笑顔は眩しい。
「何やってんの?」
「…特に、やることないんだけど……暫く行ってなかったから…」
何となしに、中庭の事が気になっただけだ。
また、冬が終わり、春になると植物係は忙しくなる。
「そっか…何か手伝うことあったら、言ってね」
河木くんはそう言うと、ニコッと微笑み僕の頭を撫でた。
(…何でそんな事出来ちゃうんだろ…)
イケメンともなれば、こんなこと…当たり前なのだろうか…
「今、何の花を植えてるの?」
「あ、色々…だけど……」
花の名前を言っても、分かるか分からなかったので、鞄の中から図鑑を取り出す。
「…あ、ここ…この花を植えて…「使ってくれてるんだ」
(……え?)
図鑑を覗き込む河木くんは、目をキラキラさせてこちらを見てくる。
「つ、使ってるって…?」
「ん?この図鑑」
(…図鑑?)
「俺が羽野に置いてった図鑑だよ?」
え?
「!?!??」
僕、今ものすごくパニックです。
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