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「なぁなぁ!羽野!」 一時間目の準備をしてる時、河木くんが僕の机へやってくる。 「冬休み、どっか行かね?」 昨日のひろさんに言われた事を思い出し、胸がドキンとなった。 「せっかくの冬休みだしさぁ!陽斗とか蓮とか、涼さんも入れて!!」 (あ、遊ぶって…皆でってこと…) 少しだけ期待してた自分に思わず苦笑しそうになりながらも、コクンと首を縦に振る。 「よっしゃぁぁ!!」 河木くんは、僕の了承を見て、ニコニコ笑顔でガッツポーズした。 周りから、一気に視線がこっちに来る。 「え、羽野と冬休みも一緒なの?」「あいつ、いつになったら目覚ますんだ…」「俺も夏喜とか陽斗と遊びてぇのによぉ」 「えぇぇ…夏喜くん、またアイツと遊ぶの?」「しかも、蓮さん達も入れて…」「うそぉ!私も乗り込もうかなぁぁ!」「ちょっと!そんな事したら蓮さんに怒られちゃうだけじゃない!」「そんなの、陽斗くんが何とか言ってくれるって」「私、あの他校の人…めっちゃ繋がりたいんだけど…」 男女どちらからも耳に入る、本音の数々に少しだけ胸がキリッと痛む。 (分かってたし…別に傷ついたりはしないけど……河木くん達のことは悪く言わないで欲しい…) 他校の涼にまで、迷惑をかけてるようで申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 「羽野」 河木くんの声に、クラス全体がシーンと静まり返る。 「冬休み、楽しみだね?」 あぁ、申し訳ない気持ちや胸の痛みがどんどん無くなっていく。 それぐらい、ニコッと笑う河木くんの笑顔は僕にとって、大切なもので… どんなに踏みにじられようとも、直ぐに心が和らいでくれるんだ。 (おかしいなぁ…初めは、こうなる事を恐れて友達になろうとしなかったのに…) これ以上、河木くんの事を好きになりたくなくて、自分が変わっていくのが怖くて、振られた時に立ち直れなくなるのが怖くて… ずっと、拒み続けていたのに 河木くんの友達でいる今が、河木くんにしか傷つけられない気持ちが、素直に告白出来てる自分が… ものすごく、嬉しいんだ。 きっとそれは、 向日葵は雑草を傷つけたりしない… そう、安心しているから。

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