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第13章 winter vacation ~冬休み~

三時間目の体育の時間 「あ、いたいた!羽野!!」 凍えそうな寒さに耐えながらも端っこで野球ボールを壁にぶつける僕に杉山先生が話しかけてきた。 「…は、はい」 体育教師でない杉山先生が、一体どうしたのだろう。 「お前、風隼の場所分かるか?」 「…え?」 「いやぁ…急遽風隼に用があるんだが、あいつサボってるだろ?居場所が分かんねぇんだよ」 何でそんな事を僕に聞いてくるのか…一瞬疑問に思ったが、サッカー部は冬休みからの練習内容について集合かけられてるんだっけ? …授業中に集合かけるこの学校も中々変だが… 風隼さんの居場所を知るとされる人物は、自然と僕になるわけか 「は、はい…多分……ですけど」 「そうか!良かったぁぁ」 きっと、風隼さんは旧校舎にいる。 古びた教室の中で、寝ているだろう。 「悪いが、羽野!呼んできてくれないか?」 ……はい? 「な、なんで…」 「ほら、俺が羽野に場所聞いて行っても、あいつ不機嫌になるだけだろ?」 …た、確かにそうだろうけど…… 「お前には、風隼も甘いし!な、寒い体育の授業もサボれる!!」 (それは…嬉しい……) 甘い誘惑につられて、僕はコクンと首を縦に降った。

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