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旧校舎に着き、僕は風隼さんが居るであろう教室の扉に手をかける。 ガラッと音を立てて中に踏み入れると ふわっ (……?) 何処からか漂う、甘い香り お菓子の甘さとかじゃなく、嗅いだことの無い…独特な香りだった。 何だろうと疑問を感じつつも風隼さんと出会った場所まで足を進めていく。 「…あ、あの……」 奥の方から人の気配を感じ、声を出すと (…!?) そこには、女の人とキスをする風隼さんの姿 いや、キスだけならまだいい、問題なのは女の人は何故か裸だということ… あまりに衝撃的なその光景に後ずさりするが、 ガタンッ 「…あ」 本棚とぶつかってしまい、その音で風隼さんと目が合う。 ビクッ その目は背筋が凍るほど冷たいもので、恐怖さえ感じるものだった。 キスしていた唇を無理矢理剥がし、僕に向かって微笑む。 「っ!」 風隼さんの視線に気付いたのか、女の人は僕を見ると顔を真っ赤にし、制服をかき集めて出ていった。 バンッと扉が閉まると同時に風隼さんは少しだけ伸びをする。 「あ、あの…」 恐る恐る話しかけると、「ん?」と何事もなかったかの様に返してきた。 「さ、さっきの…人って…」 「…さぁ?誰だろ」 いや、誰だろとか…そういう問題じゃ… 「別に俺は遊んでないよ?向こうが勝手にやって来て、勝手に脱いで、勝手にキスして来ただけ。現に俺はされるがままだったし」 少しだけ乱れた制服を直し、「こんな奴の何処が良いんだろうね?」なんて冷たく笑った。

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