258 / 437

┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈

「あ、ひろくんには言わないでよ?遊ぶの辞めたのは変わってないし」 「…な、なんで、断らないんですか?」 「ん?…面倒臭いから?(笑)」 分からない。風隼さんという人物が、まるで分からないだ。 (悲しい目をしてる…) ひろさんの前では、絶対にしない冷たい表情。 「…なんで」 なんで…好きな人がいるのに、どうして…… 「…愛されたいから」 胸が酷く傷んだ。 「ふふっ(笑)そんな顔しないでよ?冬麻くんにそんな顔させちゃったら、夏喜に怒られちゃう」 なら、風隼さんもそんな顔しないで。 そんな、貼り付けたような笑顔をみせないでよ ひろさんの前みたいな、暖かくて優しい笑顔を見せて? 「あ、そう言えばどうしたの?こんな所に来て」 「…え」 「まさか、サボりじゃないでしょ?(笑)」 話をサラッと変える風隼さん。 こうされてしまっては、僕はどうする事も出来ない… 「す、杉山先生が…」 「あぁ!そう言えば、呼ばれてた!!」 僕の性格を分かってて、風隼さんは流したんだ。 ゆっくりと立ち上がり、風隼さんは僕の横をすり抜けていく。 「あ、冬麻くん」 「もう一度言っとくけど、ひろくんには言わないで」 愛が欲しいと言う風隼さんは、本来欲しい人から貰おうとしない。 その代わり、嫌われないように必死なんだ。 だって、ほら…こんなにも冷たい目を僕に向けれているから。 ひろさんに好かれない代わりに他の人を縋る。 ひろさんに嫌われないように、他の人から嫌われる事を恐れない。 全て、ひろさんを思っての行動。 そう思えば、ほら… こんなにも可愛らしい。 「いいよ…その代わり」 風隼さんは、僕の為に沢山助けてくれた。 僕を応援してくれた。 河木くんに傷つけられても、慰めてあげると言ってくれた だから… 「ひろさんとクリスマスデート、約束して?」 今度は、僕の番。

ともだちにシェアしよう!