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(蓮side) いつものように、旧校舎でサボってると知らない女が教室に入ってくる。 「蓮くん…」 匂いのキツい香水に顔を顰めていると、女は気付いてないのかゆっくりと近ずいてきた。 「ねぇ、忘れられないの」 俺はお前の事なんか忘れてる。 「もう一度、抱いてよ…」 誰が抱くかよ 「ねぇ…「ウザイ」 俺が一言言い放つと、女は目に涙を浮かべる (…ウザ) 「…はぁ」 鬱陶しくて、その場から離れようと立ち上がるが、女が俺の腕を掴んで離れない。 「…離せ…っ」 俺に無理矢理唇を合わせてきた。 しかも、洋服まで脱ぎ出してる。 (…は、マジかよ) 俺、女にこんな事までさせられんだな… 無我夢中で食らいついてくる女に抵抗もせず、されるがまま。 別に欲情もしないし、胸が高まりもしない。 (めんど…) ガタンッ 音が聞こえ、目線だけを外す。 (…えっ) そこには、驚いた顔をした冬麻くんの姿。 その瞬間、ひろくんの顔が頭の中に思い浮かんだ。 思わず、キスしてた女の顔を引き剥がす。 冬麻くんに気付いた女は、制服を持って出ていった。 (あぁ、ひろくんにだけは言われたくない…) その思いだけで、俺の心はいっぱいになる。 俺の胸が高鳴るのも、欲情するのも、キスしたいと思うのも、香りが好きだと思うのも…全部ひろくんだけ。 けどね… 「…愛されたいから」 俺にはね、愛が必要なの。 誰かに愛されてる確証が欲しい。 誰かに縋られたい。 誰かに追いかけられたい。 ね?全然1匹狼じゃないでしょ? 本当は、言ってることが矛盾しまくってる、バカなやつ。 ひろくんよりも、夏喜よりも…何倍だってバカ。 けどね、全員から嫌われて、愛されなくなるよりも、ひろくんに嫌われる方が怖い。 だから、ひろくんには嫌われず、他人から愛される必要があるんだ。 あぁ…目の前の好きな人にだけ愛されてる冬麻くんが羨ましい… 俺が本当に望んでるものを、持っているんだから。

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