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(冬麻side)
「羽野!」
グラウンドに走って戻ってくると、初めにいなかった河木くんの姿。
「どこに行ってたの?」
少し心配性のある河木くんは、不安な顔をしながら僕の元へ駆け寄ってくれる。
「先生に…頼まれてて」
そう答えると、安心したように「良かったぁ」と小さく笑った。
(…河木くんは知ってるのだろうか、風隼さんの気持ちを……)
長い付き合いの河木くんなら気付いてるのかもしれない。
例え知らなくても、風隼さんの深い所は知っているのだろう。
「?どうしたの?」
あ、やばい…河木くんの顔、見すぎてた…
「な、何でもない」
恥ずかしくなって河木くんから目線を外す。
…が、
「何か言いたいことあったら、言って?」
優しくて暖かい河木くんの声に、結局頭を上げてしまうんだ。
(…聞いても、良いだろうか)
風隼さんのこと…
それは、風隼さんにとって聞いて欲しくない事かもしれないし、僕なんかが聞いていい事かも分からない。
ましてや、河木くんに…過去を話せてない、僕が。
「あ、…のね」
ふと、涼の顔を思い出す。
唯一過去を知る涼は、河木くん達に何も話はしなかった。
僕が言って欲しくないこと、全てを隠し通してくれていた。
だから、きっと…
「風隼さんの過去を…教えて…欲しい」
風隼さんが言って欲しくない過去は、河木くん達の口からは出てこない。
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