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ガラッ 保健室を開ければ案の定、誰もいない。 「せ、先生…は?」 「ん?斎野先生には頼んで貸し切らせて貰った」 ポカーンと口を開ける羽野。 そんな羽野を見ながら笑いそうになるのを耐え、お弁当を渡した。 「な、なんで…保健室なんか…」 「……出来るだけ、二人っきりの方が良いでしょ?」 俺の言葉に羽野の顔が赤くなっていく。 (……あっ) 羽野に告白された事を思い出す。 (うわぁぁ!俺、超恥ずいことを…) 「あ、そ…そういう意味じゃ」 羽野につられて俺まで顔が赤くなるのが分かる。 羽野も俺の言ってる意味が分かっているのか、「だ、大丈夫」と眼鏡を上げながら呟いた。 「…蓮、のこと何だけど…」 俺の言葉に、俯き気味だった顔が上がる。 「…何で、そんな事を?」 まずは、何故気になったのか教えて貰わないと…教えてはあげられない。 「じ…実は……」 体育の時間、羽野に起こった事を聞いた。 多分だけど…包み隠さず。 (…そんな事が……) まだ、蓮がそういう事を 前程ではないとはいえ、やっている事にビックリした。 (羽野と出会ってから…大丈夫になったと思ってたんだけど) 少しだけ、蓮を不安に思う。 目の前の羽野は困ったように下を向いていた。 きっと、言うべきか迷ったのだろう。 (…優しい子) 誰よりも周りを思うことが出来る羽野は、一人で思い悩んでしまう。 何とかしようと、無茶をしてしまう。 言うことで、蓮を傷つけないか…不安だっただろうけど、蓮の為に 蓮が前に進めるように、俺に言ってくれたんだ。 頼ってくれたんだ。 困ってる羽野の横で、嬉しいと思ってる自分を 陽斗や涼さんにじゃなくて、俺に頼ってくれてるなんて… 曲がった考えをしてる俺を どうか許して?

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