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「…蓮のことなんだけど…」
気を引き締め、羽野の顔を見る。
少しだけ、緊張した面持ちだった。
息を一つ吐いて、羽野に話を続ける。
その間の羽野の表情は、酷く悲しみに満ちていた。
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(ここからは、夏喜が話す蓮の過去についてです)
俺と蓮は生まれた時からずっと一緒で、幼稚園から高校まで、離れたことがない。
芸術家・風隼壱作の息子として、育てられてきた蓮は、昔から大人びていて本心を出そうとはしなかった。
そんな中、幼稚園で出会ったのが陽斗。
蓮とは真逆に、子供らしい素直な陽斗はまぁ分かりやすくて(笑)
幼稚園の頃から蓮一筋。
小さいながらに、陽斗は蓮の事が好きなんだと直ぐに分かった。
いくら、平等に優しい陽斗でも、自分に対してだけは違うと蓮も気づいていたんだろう。
家庭環境もあり、心を見せず…けど、寂しがり屋な蓮は、陽斗に対してだけ全てを委ねることが出来ていた。
『例え、他の誰かに嫌われてもひろくんだけが居ればいい』
小学四年のクリスマス、ボロボロの格好をした蓮は強い目をし、俺にそう言い放った。
その日、蓮に何があったのかは俺は知らない。
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