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そんな蓮が変わってしまったのは、中学二年の頃。 陽斗に初めて彼女が出来た時だ。 衝撃的だった。 蓮一筋の陽斗が彼女を作るなんて。 それが、周りに流されたものだとしても、軽い気持ちだったとしても… ただ、それ以上に蓮の反応が俺の心を抉るった。 あの日の事を忘れはしない。 初めて見せた、絶望の表情。 生気を失った目。 綺麗な顔立ちさえ、色褪せて見えて… 見るに耐えきれなかった。 そして、気付いてしまった。 蓮は陽斗の事が好きなんだと。 もしかしたら…陽斗が蓮を思う以上に… その日から、蓮はなりふり構わず遊ぶようになった。 それは、陽斗が彼女と別れた後でも… 変わらずに。 一方で陽斗はその時以来、蓮の事が心配なのか一度も彼女を作ってない。 蓮は不安なんだろう。 ずっと寄り添ってくれると思ってた陽斗に彼女が出来て、 自分から陽斗が離れていくことが。 陽斗を失ってしまうことが。 だから、蓮は誰かに縋る。 『例え、他の誰かに嫌われてもひろくんだけが居ればいい』 その思いを陽斗が知ること無く、蓮の中で崩れ去ってしまったのだから。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 「…そんな事…が」 「…凄いすれ違いだよな…、両思いなのに」 「や、…やっぱり……ひろさんも好きだったん…だね」 「まぁ、教えてくんないけど(笑)」 蓮は直ぐに強がってしまう。 寂しくて、縋りたくて、愛されたいと願うのに…自分の気持ちを押さえ込んでしまうんだ。 陽斗に彼女が出来るまでは、それを陽斗にぶつけていけてたのに… 今じゃ誰でもいい。 いや、誰でもいいと言い聞かせてるだけ。 「……ひろさんに伝わったら良いのに…」 「え?」 「……そしたら、風隼さんはひろさんにだけ縋ることが出来る。気持ちを抑え込む必要は…ない」 俺は大丈夫だろうか、 羽野に同じような思いをさせてないだろうか…

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