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(蓮side)
誰かに起こされ、目を開ければニコニコ笑顔のひろくん。
今日は夏喜と冬麻くんは別だと聞き、一瞬冬麻くんに避けられてるのかと思った。
…まぁ、そんな事99%有り得ないんだけど……
逆に、今の冬麻くんなら意地でも一緒に食べそう…
目の前でひろくんが何か言ってるが、正直何にも入ってこない。
冬麻くんと約束したもののどうしたらいいのか…
そして何より、冬麻くんから言われた言葉が俺の中でずっとループしていた。
「…れんれん」
少しだけ声のトーンが下がり、ひろくんの顔を捕らえる。
(…あ)
その表情は先程のニコニコ笑顔とは打って変わって、心配そうな…不安に包まれてる表情。
「……あの…さ」
言いにくそうにひろくんの目が揺れる。
「…何よ」
言いたいことあるならハッキリ言ってよ
つい、そう言ってしまいそうになるのをグッと我慢し、じっと顔を見る。
俺が見ても、ひろくんは中々目を合わせてくれなかった。
「…また、遊び出したの?」
言い出してくれないひろくんに呆れて、弁当に手をかけだしたその時、衝撃的な発言をひろくんはする。
「…え」
ひろくんが知るはずのない事実に、お箸を持っていた手が止まった。
(…なんで……)
ふと、頭に浮かんだのは冬麻の顔。
(…いや、冬麻くんがひろくんに言うはずない……)
約束を破るなんて…絶対にしない……と、思う。
「……に、匂い…」
「え…?」
「甘い…匂いがしたから」
最悪だ。
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