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(蓮side)
「心配」ねぇ…
分かっていた言葉だったが、改めて言われると胸が抉られるほど痛い。
分かってるのに、ひろくんは俺の事が「心配」ただ、それだけで…それ以上もそれ以下でもない。
ただの優しい優しい…ひろくんの心の暖かさ。
(俺だったら嫉妬で狂ってるよ)
ひろくんが他の女の香り付けてるって思っただけでどす黒い感情に呑まれてしまう。
それが、キスじゃなくて…たまたま女の人の匂いが着いていたとしても、ほんとに僅かな香りだとしてもだ。
それを「心配」だけで済ませちゃうひろくんは、なんて心の広い人だろう。
自分がひろくんを思う気持ちと、ひろくんが俺を思ってくれる気持ちの種類が違うことに、心が苦しくなる。
ひろくんの心が広いんじゃない。
俺の事を何とも思ってない。
ただ、それだけなんだ。
「別に心配される必要ないよ」
「え?」
あぁ、醜い感情が俺の中で溜まっていく
「ひろくんには関係ないし」
見せたくない、汚い俺の感情が溢れ出てくる。
「関係ないって…「だってそうでしょ?」
お願い、今すぐ俺の前から消えて。
「何でそんなこと言うの?」
「はぁ?逆になんでひろくんになんか心配されなきゃなんないの?」
お願いだから…
「なんでって…」
これ以上、ひろくんの目に俺を写して欲しくない。
「ウザイんだけど」
こんな卑怯で醜い俺を…見ないで。
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