272 / 437
┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
(陽斗side)
「ウザイんだけど」
初めて言われた、おふざけでも何でもない言葉に固まってしまう。
れんれんの本心じゃないって分かってはいるが、何て返したら良いのか…馬鹿な俺には思いつかない。
上手い返しなんて、れんれんが黙っちゃう哲学的な返し方なんてわかんないけど、
「…ウソつき」
「……ウソじゃない」
「嘘なんでしょ?」
「違うって!」
ムキになってるれんれんの頭を優しく撫でる。
そしたら、ほら…
「………」
抵抗もしないで、大人しくなっちゃう。
俺だけが出来る、れんれんを黙らせちゃう方法。
「何?俺がそんな言葉に騙されると思った?」
撫でる手を止めずに、出来るだけ優しい口調で…
れんれんに問いかけていく。
「何年れんれんの傍にいると思ってんの?」
そんな言葉で揺れるほど、俺もヤワじゃない
大事に大事に…誰にも渡さずに守ってきた、俺の大切なポジション。
キーパーと同じ…俺一人居ればそれで十分。
「れんれんから言われたウソなんて、痛くも痒くも何ともないんだからね」
俺のれんれんへの思い…舐めないでよ
「…バカじゃないの……」
黙り込んでいたれんれんが、静かに声を出す。
「バカで結構ですよ〜」
れんれんを守るためなら、傍にいられるのであれば…
俺は永遠にバカな奴でいい。
「……バカは嫌い」
……むむっ!?
「じゃあバカじゃない!!」
「はぁ?」
「れんれんに嫌われたくないもん!」
れんれんがバカ嫌いなら、俺…賢くなる!!
「ぶはっ(笑)」
「…え?」
「ほんっと…バカ(笑)」
えーっと……バカだと俺、ダメなんだよね?
笑いが止まってないれんれんを、混乱しながらただただ見てる。
「賢いひろくんなんか、キモイだけだからやめて」
……えええええ!?!?
ともだちにシェアしよう!