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(蓮side)
ほんと、この人には何をしても叶わないと悟った。
(こんな真っ直ぐ来られたら、避けるのも面倒臭い…)
それを分かっていてなのか、分かってないのか…ひろくんは俺の達者な言葉にも動じない。
どんなに賢い言葉で説明されても、上手いこと言いくるめられても、この真っ直ぐな言葉に勝てる人は、きっといないんだ。
「えっ?じゃ、じゃあ俺、バカでいいの?」
この理解力のなさはどうにかして欲しいけど…
「バカじゃないひろくんは、もっと嫌い」
俺の意地悪な言葉に益々頭を混乱されるひろくん。
(…何で分かってくんないかなぁ)
素直になれない俺も俺だけど、ひろくんもひろくんだ。
こんなにも、大好きなのにさ。
ウソは見抜けるって言ったばっかなのに……
「ウソつき」
「え!?どゆこと!?!?」
「ウソ見破れるって言った」
ウソ、見破れてないじゃん。
「え!?賢い俺が好きなの!?」
(…………)
何でそうなっちゃうかなぁ…
「やっぱ、バカなひろくんは嫌い」
ひろくんに最後のチャンスを与えてあげる。
俺の言葉に、考え込むひろくん。
その瞬間、ひろくんの顔が真っ赤っかになった。
(…ふふっ(笑)ひろくんは正直者だ)
だって、その反応は俺のウソを見破れたんでしょ?
「え、ど…ど、どういう…「教室帰ろ?」
混乱状態のひろくんの腕をグイグイ引っ張る。
「……大好き」
ひろくんに聞こえないぐらい、小さな声で呟いた。
┈┈┈┈┈┈┈┈
「あ!ねぇねぇ!れんれん!!」
久々に参加した五時間目の後、ひろくんがニコニコ笑顔で俺に話しかけに来る。
「なに?」
両手には、今話題の映画のチケット。
「これ!さっき貰ったんだけど、一緒に行かない!?」
ペアチケットの片方を渡され、書いてある内容をよく見てみる。
「…ぶはっ(笑)」
思わず、盛大に吹き出してしまった。
びっくりするひろくんを他所に、笑いを止めきれない。
(…やっぱり、ひろくん最高…(笑))
そのチケットには、12月24日の文字が刻まれていた。
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