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「え?と、とっきー!?」 眼鏡を抑えて下を向く僕に、ひろさんが慌てた様子で話しかける。 「あぁあ…夏喜が冬麻くんのこと泣かせた」 「え!?俺!!」 「そりゃそうでしょ、どれだけ不安だったか…」 風隼さんの言葉に、河木くんが「大丈夫?」と優しく声をかけてくれる。 その優しささえも、込み上げてくるものがあって… 首を縦に降るのに精一杯だった。 「あ、じゃあダブルデートの必要ないか!」 「……良いのか?提案してくれたのに」 「いいのいいの!つっきーがデートだって認識してくれてるんだったら意味ないし、どうせなら初デートは個人戦が良いでしょ?♡」 少しだけ落ち着き、眼鏡を上げながら顔も上げる。 ほんと、ひろさんの気遣いに感謝だ。 「あれ?けど、蓮は…」 河木くんが何処かニヤニヤしながらそう呟く。 (河木くんは風隼さんが〝デート〟だって認識してる事、分かってるのかな?) 案の定か、風隼さんは「やばい」とでも言うように顔を顰めている。 「大丈夫!!れんれんにはたぁーっぷり!愛のパワーでデートを実現させるからさ♡」 ひろさんは当然とでも言うように、胸を張りながらそう言い切る。 「バッカじゃないの」なんて口を叩いてる風隼さんだが、やっぱり顔は何処か赤い。 (二人が結ばれるのも、時間の問題かな?) クリスマスで風隼さんがひろさんの愛を感じ取れたら良いな…なんて、二人を見ながら思った。

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