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「怖い…」
「……え?」
「…僕のこと…どうこう言われるより……河木くん達が…け、喧嘩とか…僕のせいで、部活内の仲が…悪くなることが……本当は、何よりも怖い」
俯きながら不安の原因をポツポツと呟いていく。
言い終わった頃、涼の手が僕の頭に触れた。
「そんな奴ら、仲悪くなって当然だろ」
「…っそんな…こと」
「人を見た目で判断する様な奴、仲間だと思う方がよっぽど可笑しい」
涼の真っ直ぐな目が僕を捉える。
(……っ)
その瞬間、中学の頃の記憶が頭を過ぎり、思わず屈んだ。
「っ冬麻!」
涼が顔を真っ青にして傍に寄ってくる。
(…分かってる。涼の言いたいこと、痛いほど分かる…)
だって、中学の時もそうだった。
友達だと思っていた奴ら、全員僕の前から去って行ったあの日、
涼だけが僕を信じてくれた。
だから、涼は言うんだ。
『人を見た目で判断する様な奴、仲間だと思う方がよっぽど可笑しい』
中学時代、口癖の様に、毎日聞いていた言葉を再び僕に…
中学の奴らを重ねるように…
(…ダメだ、頭痛い…)
しばらく、こんな事無かったんだけどな…
過去からは…逃げられない…の、かな…
『なぁ!冬麻の噂、聞いたか!?』
『マジで!?やべぇ奴じゃん(笑)』
『冬麻くん、狙ってたのになぁ…ショックすぎるんだけど…』
『うわ!お前ら女子、友達のフリして彼氏枠狙ってた訳!?こえぇぇぇ(笑)』
『まぁ、あんな完璧人間いたら怖いよな…』
『どっか裏があると思ってたんだよねぇ』
『アイツの人生終わったな?(笑)』
体に力が抜けていくのが分かる。
(…あ、やばい)
視界が真っ白に染まっていく。
思考が一気にシャットダウンしていき、
(倒れる)
その言葉だけが頭に残したまま…
ふわっ…
爽やかな香りと優しい温もりに包まれた。
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