290 / 437

┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈

「怖い…」 「……え?」 「…僕のこと…どうこう言われるより……河木くん達が…け、喧嘩とか…僕のせいで、部活内の仲が…悪くなることが……本当は、何よりも怖い」 俯きながら不安の原因をポツポツと呟いていく。 言い終わった頃、涼の手が僕の頭に触れた。 「そんな奴ら、仲悪くなって当然だろ」 「…っそんな…こと」 「人を見た目で判断する様な奴、仲間だと思う方がよっぽど可笑しい」 涼の真っ直ぐな目が僕を捉える。 (……っ) その瞬間、中学の頃の記憶が頭を過ぎり、思わず屈んだ。 「っ冬麻!」 涼が顔を真っ青にして傍に寄ってくる。 (…分かってる。涼の言いたいこと、痛いほど分かる…) だって、中学の時もそうだった。 友達だと思っていた奴ら、全員僕の前から去って行ったあの日、 涼だけが僕を信じてくれた。 だから、涼は言うんだ。 『人を見た目で判断する様な奴、仲間だと思う方がよっぽど可笑しい』 中学時代、口癖の様に、毎日聞いていた言葉を再び僕に… 中学の奴らを重ねるように… (…ダメだ、頭痛い…) しばらく、こんな事無かったんだけどな… 過去からは…逃げられない…の、かな… 『なぁ!冬麻の噂、聞いたか!?』 『マジで!?やべぇ奴じゃん(笑)』 『冬麻くん、狙ってたのになぁ…ショックすぎるんだけど…』 『うわ!お前ら女子、友達のフリして彼氏枠狙ってた訳!?こえぇぇぇ(笑)』 『まぁ、あんな完璧人間いたら怖いよな…』 『どっか裏があると思ってたんだよねぇ』 『アイツの人生終わったな?(笑)』 体に力が抜けていくのが分かる。 (…あ、やばい) 視界が真っ白に染まっていく。 思考が一気にシャットダウンしていき、 (倒れる) その言葉だけが頭に残したまま… ふわっ… 爽やかな香りと優しい温もりに包まれた。

ともだちにシェアしよう!