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(夏喜side) 「…え」 涼さんの大きく見開いた目が俺を捉える。 (…あっ) やっちゃった… けど、そんな事を気にしてる場合ではない。 「羽野!大丈夫か?」 俺の腕の中で意識を失ってる羽野に、必死に声をかける。 羽野が倒れるのに出くわしたのはこれで3回目だ。 そして、腕の中に羽野を収めているのも。 「…とりあえず、家まで送ろ」 冷静な涼さんの一言が耳に届き、俺は3回目となるお姫様抱っこで、家を知る涼さんに着いて行った。 ┈┈┈┈┈┈ 「ここが羽野の家」 そう言って止まった場所は少し古めのアパート。 (ここが…羽野の住んでる家…) 建物を眺めてる俺に対して、涼さんはスタスタと足を進めていく。 俺も、慌てて後ろに着いた。 ガチャンッ (………え?) 一つの部屋の前に来ると、涼さんは何食わぬ顔で自分の鞄の中から鍵を取り出し、扉を開ける。 驚きと疑問で頭がいっぱいな中、 「早く入れよ」 涼さんにそう言われ、何も言えないまま部屋の中へ入っていった。 ガチャン 玄関で靴を脱ぎ、恐る恐る部屋の中に入るが…物は少なく、とても殺風景。 「こっち」 涼さんに言われ、着いていくと、そそこは寝室だった。 ゆっくりと羽野をベッドの上に下ろし、布団をかけてあげる。 周りを見渡すが、そこには勉強に関する本ばかり。 羽野のプライベート空間を見ている気が全くしなかった。 「あ、あの…なんで鍵…「の前に」 疑問をぶつける前に、涼さんが声を重ねてくる。 「…着いてきたの?」 予想していた質問が、俺に降りかかった。

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