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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
「…意味わかんねぇ……」
「そりゃ、何も知んなきゃ意味わかんねぇだろ」
涼さんの言葉に胸がズキンと痛む。
(…俺には何も理解出来ないってか?)
……そうだよ。何も理解出来てない。
それどころか、何があったのかも教えて貰えない。
中学時代に何かあって、羽野は心を閉ざした。
その情報以外、俺は何にも知らないんだ。
「…今日は傍にいてやれ」
「……え?」
突然涼さんが発した言葉に、思わず聞き返してしまう。
「アイツの心を癒してあげられんのは、つっきーだけなんだよ」
「……っそれって」
どういう意味?
そう問いたくても、声が出てくれない。
声が出なくなるほど、涼さんの目に映る光は悔しさと悲しみと怒りと…
「頼む。アイツを救ってやってくれ」
俺に対する懇願の色が混ざっていたから。
┈┈┈┈┈┈┈┈
涼さんが帰り、家の中には俺と羽野の二人だけ。
親には「友達の家に泊まる」とだけ伝えておき、ずっと羽野の傍にいた。
「……俺は羽野を救えるかな?」
未だ眠っている羽野に、小さくそう声をかける。
案の定、答えなんか返ってこなくて、優しく羽野の頭を撫でた。
(…綺麗)
羽野の髪は、綺麗な漆黒。
顔を隠すためか、長くボサつく前髪も本当は真っ直ぐなストレートで…
ずっと触っていたくなる。
(………)
不意に髪を撫でていた手が頬に当たった。
(さっき、涼さんが撫でてたんだよね)
頬に当たった手は、離れることをせず、そのまま優しく頬を撫でる。
真っ暗な感情が心を染め、同時に切なさと愛おしさが溢れ出てくる。
(…居なくならないで……)
暗くなった夜空に浮かび、羽野をキラキラと照らす月が美しくて…
照らされてる羽野は、もっと綺麗で…
その美しすぎる光景に、俺は思わず唇を落とした。
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