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(冬麻side) 不思議な、夢を見た。 誰かに優しく包まれている夢。 顔は見えないし、情報なんて全くないけど… ものすごく安心する。 その温もりが離れていく時、寂しさと共に爽やかな香りが周りを漂わせた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈ 「…んっ」 夢の中で感じていた温もりが消えた頃、現実の世界へと目を覚ました…つもり、なのだが…… 「…!?」 何故か、目の前には目を大きく見開いて驚いた顔を見せる河木くん。 (…え、何で…河木くんが??) 周りを軽く見渡せば、そこは間違えなく僕の部屋で… 僕の部屋に何故か河木くんが居るという、有り得ない状況に まだ、夢を見ているのかと一瞬頭に過ぎった。 「…あ、だ大丈夫?」 驚いた顔を見せていた河木くんが、思い出した様に僕に聞いてくる。 「…う、うん」 何に対しての大丈夫なのか、直ぐに分かった。 (…何でここにいるのか分からないけど…迷惑、かけちゃった…よね) 少しだけ、先程のぎこちなさが消えてない河木くんは恐る恐る僕の頭を撫でてくる。 (…温かい……) 夢で見た、温かさと近い体温に思わず目を瞑ってしまった。 それ程までに、何だか河木くんの温度が心地よい。 目を瞑り、ちょっとだけ座りながらウトウトしかけたその時、河木くんの手がピタリと止まる。 (…何だろう……) 恐る恐る目を開けると、 ドキンッ 前に一度見た、僕を捉えるような鋭い目。 「……あ、あの…」 高鳴る胸を抑えながら、声をかけてみるも、聞こえてないかのように河木くんは頭に置いていた手をサラサラと動かし始める。 (…何だろう…、この空気……) 今まで、河木くんと居て、「甘い」と感じた事は何度もあった。 二人でサボったファミレスの日だってそう。 結局は、優しく甘やかしオーラ全開の河木くんが僕の事を受け止めてくれるんだ。 けど…今は 甘いなんて雰囲気じゃない。 もっとビターで、ほろ苦くて。 でも… 「…羽野」 ふわりと甘酸っぱい酸味が漂ってる。

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