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(え、…ど、どうしたの…河木くん…) 声をかけたいが、耳は涼との電話で塞がれかけようにもかけられない。 『……冬麻?』 「あ、…な何でもな…」 ギュッ (!?!?) 電話から聞こえる涼の問いかけに答えようとすれば、益々僕を捕らえる腕の力が強くなって… (…し、心臓…も……持たない…!!) バックバクの心臓は収まることを知らなくて、これ以上激しくはならないだろうと思えば思うほど胸がキューっと苦しくなる。 『…何でも無くはないだろ……』 不安げな涼の声が僕の耳に響く。 いつも通り…いつも通り、何でも無いって答えなきゃと思うのに 後ろにいる河木くんが、そうはさせてくれない。 涼がまだ何かブツブツ言ってたけど、頭の中に入ってなんかくれなくて… 「……羽野」 もう一度、電話とは逆の方の耳に呟かれた、僕の名前を呼ぶ声に 意識が全て向いていってしまう。 スッ 「…あ、」 後ろから、河木くんの腕が伸び、スマホをあっという間に奪われる。 そしてそのまま… 電話を切られた。

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