298 / 437
┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
(え、…ど、どうしたの…河木くん…)
声をかけたいが、耳は涼との電話で塞がれかけようにもかけられない。
『……冬麻?』
「あ、…な何でもな…」
ギュッ
(!?!?)
電話から聞こえる涼の問いかけに答えようとすれば、益々僕を捕らえる腕の力が強くなって…
(…し、心臓…も……持たない…!!)
バックバクの心臓は収まることを知らなくて、これ以上激しくはならないだろうと思えば思うほど胸がキューっと苦しくなる。
『…何でも無くはないだろ……』
不安げな涼の声が僕の耳に響く。
いつも通り…いつも通り、何でも無いって答えなきゃと思うのに
後ろにいる河木くんが、そうはさせてくれない。
涼がまだ何かブツブツ言ってたけど、頭の中に入ってなんかくれなくて…
「……羽野」
もう一度、電話とは逆の方の耳に呟かれた、僕の名前を呼ぶ声に
意識が全て向いていってしまう。
スッ
「…あ、」
後ろから、河木くんの腕が伸び、スマホをあっという間に奪われる。
そしてそのまま…
電話を切られた。
ともだちにシェアしよう!