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「…え、あ…あの」 まさか電話を切られるとは思ってなくて… 切られた後も僕を捉える腕は一向に緩める気配を感じられない。 「……ど、どうした…の?」 恐る恐る声をかけてみるが、なんにも答えてはくれなくて… 思わず河木くんの腕をギュッと掴んだ。 「…な、何か…嫌なことでも……あったん…ですか?」 思わず敬語になってしまう。 どうして河木くんが僕を抱きしめているのか分からないけど… 何か悲しい事とか、悩んでる事とかあって 人肌が恋しくなっているのであれば…… 「…ぼ、僕で良ければ…き、聞くぐらいなら…助けに…なる…よ?」 河木くんに沢山助けてもらったみたいに、僕も河木くんの為になりたい。 「……はぁ、ほんと羽野って」 「…へ?」 抱きしめていた腕が少しだけ緩む。 河木くんの腕の中でのみだが、動く事が自由になり、後ろをそっと振り向いた。 ドキンッ 少しだけ落ち着きかけてた心臓が、一気に高鳴る。 そこには、先程の表情とは打って変わって 柔らかく微笑む河木くんの姿があった。 「…あ、あの…」 何が何だか…頭が全く追いついてない僕は、戸惑いながらも河木くんに問いかける。 河木くんが「はぁ…」と小さく息を吐く。 「ほんと…可愛い」 衝撃発言を落とした河木くんは そのまま、僕の肩にふわりと顔を埋めた。

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