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僕の言葉に河木くんの目が、光を灯す。 優しい光じゃなくて、真剣な光。 「……羽野のこと、何にも知らなくても?」 「…へ?」 思いもしなかった言葉に、僕は間抜けな声を出してしまう。 真剣だった河木くんの瞳には、哀しい色が隠されていた。 「俺は、涼さんと違って、羽野の過去を知らないし…何で羽野が変わったのか、どう変わったのかも分からない」 ゆっくり、自分自身に聞かせるように話す河木くんは、無意識か手が小さく震えている。 「蓮みたいに、恋愛ごととか敏感じゃないし、陽斗みたいに…心も広くない」 …一体、何を僕に伝えたいのだろう 「…だから、……今は心がいっぱいでも……」 河木くんの瞳が揺れた。 「…これからは、分かんないよ?」 一体、何の嫌味だろうか 涼が僕の過去を知ってることも、風隼さんが色恋沙汰に敏感なことも、ひろさんの心が広いのことも 河木くんへの思いが変わるような理由には、ならない。 だって、僕は 「…僕の心は、河木くんしか…見えないよ」 心がいっぱいなのは、これからも一緒。 だって、今も今までも、これからも… 河木くん以外、心の目には何も映らないんだから。 河木くんの手をギュッと握った。

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