302 / 437
┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
(夏喜side)
羽野からの言葉がスっと胸に落ちていく。
(いつの間に…そんな、自分の思いを話せるようになったのだろう)
初めて話した時は、目さえ合わなかったのに…
今じゃ、前ほど吃ることなく、目を合わせて気持ちを伝えてくれている。
その事実が、素直に嬉しかった。
「…ありがとう」
ギュッと握られてる手を優しく握り返してみる。
(…真っ赤っか(笑))
相変わらず、反応のピュアさはいの一番だ。
自分から行動したり、案外大胆な羽野だけど、俺から行動すると直ぐに恥ずかしがる。
(蓮や陽斗からされるのは、慣れてきてるんだけど…)
未だに、俺には慣れてくれてないみたい。
羽野と友達になってから、それは羽野に関する一つの悩みであったが、気持ちを知ってからというもののそれさえも嬉しく感じるのは、やっぱりおかしいのだろうか。
(俺、思ってる以上に羽野のこと…)
遅すぎる自分の気持ちに、思わずため息が出た。
┈┈┈┈┈┈
「…あ、あの…手…」
どれくらい、そうしていただろうか。
羽野と繋いでる手が心地よくて、ずっと繋いでいたくて
黙ったままの不思議な空間に
痺れを切らした羽野が恐る恐る声を出した。
「…なに?」
ハッキリ言わない羽野をいい事に、少しだけ羽野に意地悪してしまう。
まだ、離していたくないという思いと、羽野の困ったような戸惑ったような…可愛らしい反応を見てみたくなった。
ともだちにシェアしよう!