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「お、怒ってない…から、手…」
負けじと手を離すことを求める羽野。
そんなに手を繋いでることが嫌なのかと、今度は俺が少し拗ねてしまう。
「…か、河木く「そんなに、嫌?」
「…へ?」
羽野の手をもう一度ギュッと強く握った
「そんなに、俺と手繋ぐの嫌なの?」
少しだけ伺うように羽野の顔をチラッと見てみる。
羽野はびっくりしたようにあたふたと慌てていた。
「い、嫌な訳じゃ…」
顔を少しずつ赤らめていく羽野。
「…じゃあいいじゃん」
抗議するような羽野の目を無視して、手をそのまま繋げていた。
「…し、心臓、もたない…」
「…え?」
少しの沈黙が続いた後、羽野が小さく声を出す。
「手、つ…繋いだままだと…心臓が…ば、バクバクいってて…」
恥ずかしそうに、必死に伝えてくる羽野。
「だ、だから…離して…貰えた方が…」
(何その理由…)
可愛すぎる理由に、素直に答えちゃう羽野に
キュンキュンが止まらない。
そんな可愛い理由じゃ手を離す気なんてなれる訳ない。
「やだ」
「な、…な」
「離す理由が分からないんだもん」
俺は、羽野と手を繋いでドキドキしてるこの空間に、もうちょっと酔いしれてたいから。
「…な、何で」
「え?」
「ぎゃ、逆に…何で、手を…繋ぎたいの?」
恐る恐る問いかける羽野の声。
(何故、羽野と手を繋ぎたいのか…?)
そんなの、決まってる。
「俺は、羽野の事が…」
ピンポーン
羽野からの問いかけに答える前に、訪問者を伝えるチャイムが鳴り響いた。
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