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「だ、誰だろう」 チャイムに気づいた羽野は、少し緩んだ俺の手をどかし、玄関へ向かった。 (…つまんないの) あっさりと離された手をジッと見つめる。 「…はぁ」 思わずため息をつき、そのままベッドの上に身を放った。 「大丈夫か!?」 玄関の方から、誰かの心配する声が耳に届く。 何事かと思い、寝っ転がっていた体を起こし、玄関に向かった。 「……涼さん?」 「あ、河木くん…」 玄関先には戸惑ってる羽野と真剣な眼差しを向ける涼さんの姿。 「どうしたの?」 俺が恐る恐る声をかけると、涼さんが勢いよく此方を見てきた。 「お前なぁ…傍にいてやれとは言ったけど、襲って良いとは言ってねぇぞ!?」 「……はぁ!?」 何を勘違いしてるのか、ありもしない事実を物凄い形相で言ってくる涼さん。 隣にいる羽野もびっくりした顔で涼さんを見ていた。 「お、襲ってねぇよ!」 「いいや!お前はやりかねん!」 どんな偏見受けてんだよ、俺!? 「か、河木くんは…何もしてないから」 慌てたように誤解を解き出す羽野。 「……本当か?」 疑いの目はあるものの、涼さんの問いかけに勢いよく首を振る。 「じゃあ、何で電話が途中で切れたんだよ!?」 「…そ、それは……」 羽野の方をチラリと見る。 バチンと目が合い、羽野は顔を赤らめながら目を背けた。 「お、お前なぁぁぁぁ!!!!」 涼さんから強い洗礼を受けたのは、言うまでもない。

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