306 / 437
┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
羽野のピュアで素直な反応に、涼さんは完全に誤解をし、今日一日羽野の家に止まっていくことに…
(せっかく、羽野と二人っきりだったのに…)
少しだけ残念…
そうは言っても、時計は気付けば夜の9時を指している。
電車でここまで会いに来てる涼さんは、まさか家から心配で来たとは思えないし…
(また、アトリエで作業してたのかな?)
一度行ったことのある、東雲駅付近のアトリエなら、そう来るまで時間はかからないだろう。
もう風呂には入ったという涼さんを他所に、俺は羽野の家のお風呂を借りた。
┈┈┈┈┈┈
羽野が置いておいてくれたスエットを着、リビングへ向かう。
「あれ、羽野は…「シー」
リビングに居るはずの羽野の姿が見当たらなく、思わず声に出すと何故か涼さんに静かにするよう人差し指を立てられる。
頭に?を浮かべながら、口を抑え、涼さんが寄りかかってる小さめのソファを見ると
(…寝てる)
スヤスヤと眠る羽野の姿があった。
「疲れてんのかな…」
聞こえるか聞こえないかのトーンで、涼さんがボソッと呟く。
「…安心したのかもよ?」
羽野の顔を見て、涼さんの言葉にそう返した。
だって、物凄く安心した様子で、寝てるから。
それはきっと、涼さんが傍にいるからなのかもしれない。
(悔しいなぁ…)
そう思う気持ちは、相変わらず心の中心に現れるけど、穏やかな羽野の表情に心が穏やかになったのも事実だ。
ともだちにシェアしよう!