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「陽斗は言うほどでもねぇか(笑)」 涼さんはそれだけ言うと徐に立ち上がった。 「…涼さん「大事にしろよ」 「え?」 「泣かしたら、承知しねぇから」 ソファの下に置いていた鞄を手に持つとそのまま玄関先へ歩き出す。 「…え、涼さ…「帰るわ」 「は!?」 自由気ままな涼さんに思わず大声を出してしまうと、「シーっ」と小さく顔を顰められた。 「まだ、作品終わってねぇし、今アイデア降りてきた」 「いや、降りてきたって…「そういうもんなの、芸術家って」 いやいや、自分で言う!? 「ってことだから、じゃあ」 「え、…ちょ、ま…」 バタンッ (…マジで帰った……) チラッと眠る羽野に目をやる。 「……」 そっと近くに座ると、羽野が小さく動いた。 「…羽野?」 起きたのかと思い、声をかけてみたがまた、スヤスヤと寝息をたてる。 「…いつか、教えてね」 いつか、羽野の過去も気持ちも…何もかも教えて貰おう。 そして、その時まで… 「気持ち、伝えたいな…」 ここ抑えきれない気持ちを、羽野に届けよう。

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