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(夏喜side) 「ねぇねぇねぇねぇ!!!」 「ちょ…な、なに!」 すっかり冬休みムードな部室内では練習も終わり、ぞろぞろといつもより早く家へ帰る人がほとんど。 そんな中、家に全く帰る気配のない奴が一人、ニッコニコ笑顔で飛びついてきた。 「もうすぐだね!クリスマス!!」 「いや、そうだけど…」 「もうすぐだね!デート!!」 「ちょ…声でかいって……」 人目もはばからず、テンション高めで叫ぶ陽斗は俺の言葉も耳に入ってないようで、 「今年はれんれんと……♡」 なんて、浮かれまくってる… 「逆になんで、つっきーはそんな冷静なの!?」 「いやいや、お前が気早すぎるだけだろ…」 確かに、冬休みに入り、やっとクリスマスだということも意識し出してはいるが、まだ少し先だ。 いくらクリスマスが楽しみだからと言って、誰よりもワクワクした表情を見せる陽斗はまるで、サンタクロースを待つ子供みたいだ。 「まぁ、つっきーはとっきーのこと恋愛感情では見てないんだもんねぇ〜、そりゃそうかぁ」 陽斗の言葉に胸がドキッと鳴る。 そんな俺に気づいてるのか気づいてないのか… 「俺はこのクリスマスにかけてるんだからね!!絶対とっきーだって、つっきーのこと落とすために必死だよ!!」 なんて、勝手に一人話を進めている。 「…あのさ、陽…「俺さ」 少しだけ陽斗の声のトーンが下がった。 「とっきーには、幸せになってもらいたいんだよね」 「……」 「ほら、とっきーって物凄く純粋で真っ直ぐでしょ?俺、あんな良い子見たことないし、れんれんとは違う意味で好きなんだよね…」 「…陽斗」 「いや、別にだから付き合えって訳じゃないよ!!ただ、同じ片思いしてる者同士さ…やっぱ報われて欲しいわけで…」 「ちゃんと、とっきーの思いと向き合ってあげてね?」 陽斗のそれこそ真っ直ぐすぎる姿勢に思わず背筋がピンッと伸びる。 「あ、…いや…俺……「あ!!ごめん!つっきー!今日急いで帰んなくちゃ!!!」 「いや、…ちょ……」 「じゃ!!」 部室の扉が勢いよく閉じる。 (いや、人の話ぐらい聞けよ!!)

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